孟 宗 の は な し
三国時代に、孟宗(もうそう)という人がおりました。
幼い時に父と死に別れ、年老いた病気がちの母と暮らしていました。
その母の病気が悪化し、もう長くはない状態となりました。
ちょうど、真冬の頃でしたが、母親は竹の子が食べたくてしかたがありません。親孝行の孟宗は雪まじりのおぼろ月夜に、一人で竹の子を探しに行きます。
今どき竹の子などあろうはずがないと分かりきっています。それでも母にどうしても竹の子を食べさせてあげたい。そこで、孟宗は竹林の竹に抱きついて、大声をあげて竹の子がほしいといって泣きました。
これには天もさすがに感動したのでしょう。孟宗の目の前で地面がぱっくり割れ、そこに真新しい竹の子がいくつもはえてきたのです。
母親は、この竹の子を煮て作った羹(あつもの)を食べ、病気も奇跡的に快復に向かったということです。