浄土の鳥たち |
また次に舎利弗、かの国にはつねに種々奇妙なる雑色の鳥あり。
白鵠・孔雀・鸚鵡・舎利・迦陵頻伽・共命の鳥なり。このもろもろの鳥、昼夜六時に和雅の音を出す。その音、五根・五力・七菩提分・八聖道分、かくのごときらの法を演暢す。その土の衆生、この音を聞きをはりて、みなことごとく仏を念じ、法を念じ、僧を念ず。
舎利弗、なんぢこの鳥は実にこれ罪報の所生なりと謂ふことなかれ。ゆゑはいかん。かの仏国土には三悪趣なければなり。
舎利弗、その仏国土にはなほ三悪道の名すらなし、いかにいはんや実あらんや。このもろもろの鳥は、みなこれ阿弥陀仏、法音を宣流せしめんと欲して、変化してなしたまふところなり。
舎利弗、その仏国土には、かくのごときの功徳荘厳を成就せり。
『仏説阿弥陀経』(註釈版聖典123頁)
舎利弗よ、阿弥陀如来の浄土にはいつもいろんな鳥がいます。
白鵠・孔雀・鸚鵡・舎利・迦陵頻伽・共命の鳥、この鳥たちは一日中美しい声で鳴いています。その声は、煩悩をおさえて悟りを開かせる5つのはたらき、悪を破りさとりへ進ませる5つの力、さとりを得るために役立つ7種の行法、さとりに至るための8種の正しい行法、このような法をのびやかに述べています。浄土の衆生は、この声を聞き終わると、みんな仏・法・僧の三宝を念じます。
舎利弗よ、あなたはこの鳥たちが過去世の罪によって、このような鳥の姿に生まれ変わったのだと思ってはなりません。そのわけは、浄土には地獄・餓鬼・畜生の世界がないからです。
舎利弗よ、その浄土には地獄・餓鬼・畜生の名前すらないのです。だからその実体はないのです。その鳥たちは、みな阿弥陀如来が法音をひろめようと思しめして、姿を変えて現われているのです。
舎利弗よ、その浄土にはこのような功徳荘厳が完成しているのです。
びゃっこう 白 鵠 |
鶴の一種で、白鳥または天鵞(てんが)と呼ばれている。
くじゃく 孔 雀 |
おうむ 鸚 鵡 |
しゃり 舎 利 |
この鳥は、人間の言葉を暗誦するといわれている。
かりょうびんが 迦陵頻伽 |
殻の中にいるとき、すでによく鳴き、
極めて美しい声を出すといわれている。
ぐみょうのとり 共命之鳥 |
人面鳥身で、一身に両頭を有し、
生死をともにするといわれている。