広南小学校読み聞かせ(139)

5月7日(月)

ゴールデンウィークが終わった。

先日出没したサルも、その日小坪で見つかったのを最後に何の情報もなく。

  今朝は雨の降るなか、広南小学校の読み聞かせ。

担当は5年生。

読んだ本は、 『空をつくる』 (村尾 亘 絵・作)

絵の上手なサルが主人公。
まずは、

おかしくて腹立たしくて哀しくて・・・ 絵本を読み終えたら、どうしてもほんとの空を見上げたくなる 谷川俊太郎

と、帯に書かれた推薦のことばを紹介。

  自らの欲望を満たすため、空間を奪い合い、背高のっぽの家がどんどん建てられ、空はどんどん小さくなっていく。
そこで住民たちは考えた。
「空をつくろう」
絵の上手なサルに、至るところに空の絵を描いてもらった。
サルは人気者になり、生活は豊かになっていくけれど、 「ぼくたち、空をつくることなんて、してよかったのかな。」 とつぶやいて。。。

  現代の飽食・飽和の社会に投げかけた絵本。
読み終わった後、先生が「ゴールデンウィーク中、空を見上げた人!」と尋ねたら、一人だけ。
「フライを捕るときに。」と。
みんな、忙しいんだな。  

ああ そうだ。 これが 空だ。 失ってはじめて、ぼくは気づいた。
はてしない空は あたりまえにあるわけじゃなかったことに。
なくしちゃいけないものだった、ってことに。

 

2018年5月7日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(138)

4月23日(月)

青空の広がる穏やかな朝。

今朝は広南小学校読み聞かせ。

担当は3年生。

  教室に入ると、朝から校庭で元気いっぱい遊んで、「あつい~」と半袖姿の子たちがチラホラ。

今日、読んだ絵本は、

『のどぼとけさん』 (尾崎美紀 作・ささきみお 絵)

  「のどぼとけさん、知ってる人!」と尋ねると、 「知らな~い。」
「のどちんこなら知ってるよ」と。。。

  そんな子どもたちに「のどぼとけ」の楽しい話を。
昼寝しているおじいちゃんの喉の奥に、何かが見えた!

あれ?だれかがいる!? ちっちゃな おじぞうさんみたいな、 おぼうさんみたいな・・・・・・。

それがのどぼとけさん。

ばあちゃんが いうには、のどぼとけさんというのは、ひとのやくにたつことを たくさん すると、でてくるらしい。

そののどぼとけさんとしんたろうのほのぼのとした物語。

 

「のどぼとけ」 喉頭隆起というらしいが、火葬したあと、拾骨の時、「これが喉仏」と見せてくれるのは、第二頸椎と呼ばれる違ったもの。
第二頸椎は、座禅をしている仏さまのように見えるところからそう呼ばれるのだと。

この絵本に出て来るように、徳を積むと仏さまがと、昔の人は考えたようだ。

ちなみに、西洋では「のどぼとけ」のことを、「Adam’s apple(アダムのリンゴ)」と。
アダムとイブのあのアダム。
禁断の果実を喉に詰まらせた名残だそう。

  「のどぼとけ」と「アダムのリンゴ」

何だか、昔ラジオで流れていた日本人と西洋人の労働観の違いの話をふと思い出しながら。

2018年4月23日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(137)

4月16日(月)

新年度を迎えて初めての広南小学校読み聞かせ。

  今日の担当は新2年生。

初めての絵本は楽しいものを。

今日読んだ絵本は、

『オレ、カエルやめるや』(デヴ・ペティ作・マイク・ボルト絵・こばやしけんたろう訳)

カエルはカエルがいやなのです。
だってぬれてるし、ヌルヌルしてるし、ムシばっかり食べるし・・・・・・・。
それよりも、もっとかわいくて、フサフサの動物になりたいのです。

最後、裏表紙に書いてある「キミはなにになる?」をみんなに尋ねると、 一番前の席で、「怪獣になりたい!」と。

すると、後ろから、 「私は今のままがいい」との声。

 

そこで、

すべてを楽しみに変えてくれるクリス、クレオ、イスラへ ―D.P. エリへ。君は君のままで ーM.B.

絵本の巻頭にあった作者2人のメッセージを紹介。

楽しい中に込められた親からのメッセージ。

  今年度も子どもたちにたくさんの絵本を通して、いろんなことを伝えられたら。  

2018年4月16日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(136)

3月19日(月)

今年度最後の広南小学校読み聞かせは、雨。

給食室前にある桜のつぼみもだんだんと膨らんで、春休み中に咲くのだろうか。

今日の担当は5年生。 6年生が卒業し、いよいよ最高学年の子どもたち。

今日、読んだ本は、

『おさびし山のさくらの木』 (宮内婦貴子 文 いせひでこ 絵)

「もう会うことはできないのでしょうか」 1987年の初版から約30年、東日本大震災を経て、 いせひでこが新たに作品と向き合った、めぐりめぐる生命の物語

帯に書かれた1987年の初版とは、俳優の奥田瑛二さんが絵を描いた絵本。

1986年、『男女七人夏物語』でブレークした奥田瑛二さんが絵本を出したことは何となく記憶にあったが、この本だったとは。

とおりかかった旅人が、おさびし山のさくらの木に、
「ちらない花はないのですか」とききました。
おさびし山のさくらの木は、
「さいた花はかならずちります」
 そう、こたえました。 旅人はもういちどききました。
「ちった花はどこへいくのですか」
するとおさびし山のさくらの木は、
「あなたはどこへいくのですか」
とこんどは旅人にききかえしました。
旅人は、 「旅から旅へ・・・・・・。
でもやがて旅を終えたらうちに帰ります」
とこたえました。

とっても、きれいな絵で、静かに静かに物語は続いていく。

楽しい絵本ではないけれど、何だかふしぎな絵本の世界に。。。

  終わった後、今年度最後と言うことで、

子どもたちからお礼のお手紙をいただいた。

今年は何と読み聞かせをしているところの写真入りで!

  終わってほっこりしていると、よそのクラスでもめごとがあったとかで、職員室と保健室にいる子を落ち着かせるため、本を読んで欲しいと。

楽しい本ではないけれど、もう一度『おさびし山のさくらの木』。

今年度最後は、ひょんな事から、職員室で一人の男子の隣に座って。

終わったあと、「難しかった?」と聞くと、目がとっても穏やかで、物語に出て来た風車のことを語ってくれた。

読み聞かせって、心を落ち着かせる作用もあるんだな。  

2018年3月19日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(135)

3月12日(月)

今日も青空が広がり、シジュウカラが飛び交い、キジバトの声が。

でも、まだウグイスの声が聞こえてこない。

今朝は広南小学校読み聞かせ。

担当は4年生。 読んだ絵本は、

『ひまわりのおか』(ひまわりをうえた8人のお母さんと葉方 丹 文・松成真理子 絵)

2011年3月11日。 宮城県・石巻市大川小学校を、大きな津波がおそいました。
わが子をなくしたお母さんたちは、やがて、 小学校のそばにたくさんのひまわりを植えはじめました。
日差しをあびて、ぐんぐん成長していくひまわりに重なるもの。
それは、何よりもたいせつな、愛する子どもたちの姿ーー。

  「昨日は何の日だったか知ってる人!」
「東日本大震災!」
「憶えている人!」
「・・・」
「まだ生まれてない?・・・」

生まれていたけど、当時2歳だったこの子たちの記憶にはない。

  この絵本に出会ったのが、2013年3月。
でも、その当時の読み聞かせでは読めなかった。。。

その年の5月。この絵本の舞台、大川小学校へ。

その大川小学校がこの春で廃校になると聞いて、今日はこの絵本を。

先月、2分の1成人式で将来の夢を語った子どもたち。

同じように将来の夢を持ちながらも亡くなっていった子どもたち。

言葉はなくても、何か感じてもらえたらないいな。  

2018年3月12日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(134)

3月5日(月)

先週末は春らしい陽気だったのに、明け方からすごい雨。

今朝は広南小学校読み聞かせ。

担当は、3年生。

3年生は、以前国語の時間に盲導犬のことを学んでいる。

そこで今日読んだのは、

『チロリのまなざし』 (大木トオル 森本ちか)

捨て犬だった、足の不自由な雑種犬が拾われて、日本初のセラピードッグとなった。
歩けなかった外吉おじいちゃんとチロリがふれあううちに、外吉おじいちゃんが車いすから立ち上がり、歩く練習をするようになって一緒に散歩できるようになった。
栄子おばあちゃんは、長い間笑ったことがなかった。
その栄子おばあちゃんとチロリがふれあううちに、大きな口を開けて笑うようになった。

 
今日は絵本でなく、写真で。 子どもたちには、栄子おばあちゃんの笑顔が印象的だったみたい。

  アニマルセラピー(Animal Assisted Therapy、動物介在療法)とは、 動物とのふれあいを通して、心が癒やされ、治療の助けとなるもの。

この言葉に出会ったのは、もう20年以上も前。
また、同時期に出会った言葉、「ペットロス」「ペットロス症候群」。
最愛のペットを失った悲しみにより、身心をわずらってしまうこと。
その当時読んだ本に、欧米などのキリスト教文化圏では獣医師がここに関わるけれど、日本は欧米と宗教観が違うこともあって、宗教者の関わりが必要だと説かれていたので、当時いろいろ「アニマルセラピー」「ペットロス」について勉強させてもらったなぁ。。。

  先日、子どもにたのまれた本を探しに本屋へ立ち寄ったとき、このチロリ関連の本が何冊か並んであった。
何だか懐かしくもあり、写真の方がリアルに映るかなと、絵本でなく写真本に。

  アイコンタクト 目と目を合わせ、心と心で会話するチロリ。

「和顔愛語 先意承問」と重ねながら。。。

2018年3月5日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(133)

2月26日(月)

今朝は何だか暖かく。

広南小学校読み聞かせ、担当は2年生。

読んだ絵本は、

『くまのこうちょうせんせい』(こんのひとみ作 ・いもとようこ絵)

毎朝、くまの校長先生が、校門であいさつをしてくれる。
でも、大きな声であいさつできないひつじ君に、
「勇気を出してごらん。いつか大きな声でおはようがいえるようになるよ」
とやさしく励ましてくれる。
ただ、ひつじ君には大きな声を出せない理由があった。
お父さんとお母さんのケンカする声、お母さんが叱るときの声。
大きな声はどれも悲しくさせる声だった。。。
そんな時、校長先生が入院。
校長先生は病気になって、小さな声しか出せなくなり、ひつじ君の気持ちがはじめて分かって。。。

とってもあたたかくなる絵本。   あとがきに、

これは本当のことを元にしたお話です。
神奈川県茅ヶ崎市の浜之郷小学校校長・大瀬敏昭先生はお医者さんに「あと三ヶ月の命です」といわれたあとも、学校にかよい『命の授業』を続けました。
大瀬先生が、病気になってはじめてわかったことがあるといっていたことがあります。
「子どもはあかるく元気がいちばんと、大人は思い込んでしまいます。
でも本当は、子どもは小さくて弱いものなのです。
子どもたちの痛みを分かちあうのが、大人の役目だと思います。」
くまこうちょうせんせいは、大瀬先生のそんな言葉から生まれたのです。
(中略) だれでもみんな命をもっています。
これまでの私は、それぞれの命には限りがあると考えていました。
でも今はこう思うのです。
「おはよう」を言えなくなっても、一緒に遊べなくなっても、いつかは訪れるさようならの日まで精一杯生きたとしたら、その人はずっと誰かの心の中で、生きていられるのだって。
だからこそ私たちはその日まで、一生懸命生きていくのだと思います。

と。 子どもたちにはこのあとがきは読めなかったけど、何かこころに伝わるといいなと思いながら。    

2018年2月26日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(132)

2月19日(月)

今朝は広南小学校読み聞かせ。

今日の担当は1年生。

読んだ絵本は、

『給食番長』 (よしながこうたく作)

昨年末に1年生を担当したとき、このシリーズの『おそうじ隊長』を。

そして、今回は『給食番長』。

読んだことある人!と尋ねたら、2名が手をあげてくれた。

 

昼休み、遊びたいから、嫌いなものは残してしまえ!と、番長にそそのかされて、たくさんの残飯を毎日残す1年2組。
その残飯を見て、毎日涙する給食のおばちゃん。
ある日、給食のおばちゃんたちは怒ったけれど、番長たちにはかなわない。
とうとう、おばちゃんたちが家出してしまった。
番長は、自分が美味しい給食を作ってやると息巻いて、作るのだけど。。。

 給食の先生たちが作ってくれる給食に込められた思い、子どもたちに届いているといいなと思いながら。    

2018年2月19日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(131)

2月5日(月)

立春を迎えたけれど、またまた寒波到来で寒い朝。

今朝は広南小学校読み聞かせ。

担当は6年生。

この7日に小学校で津波を想定した避難訓練があるので、東日本大震災関連の絵本を。

『希望の牧場』(森 絵都 作・吉田尚令 絵)

読む前に、今度の津波の避難訓練のことに触れ、「東日本大震災のことを憶えている人」と尋ねると、パラパラと手が挙がる。

今の6年生は、当時幼稚園や保育所の年中クラス。

その頃、こんなこともあったと、伝えておきたい。。。

 

東日本大震災の後の原発事故により、牛飼いの生活は一変した。

被曝した牛はもう売れない。

国からは立入禁止区域に指定されたけど住み続け、殺処分に同意するよう求められたけど同意せず。

売れない牛を生かし続ける。 意味があるかな。バカみたいかな。いっぱい考えたよ。

意味があってもなくても、牛とともに今も生き続けている牛飼いのお話。

裏表紙の帯に、

闘いつづける「希望の牧場」のすがたを、「悲しみ」ではなく「強さ」をこめて絵本に残せたらと考えました。−−森 絵都

と作者の言葉。

今日は静かにゆっくりと低い声で。

こころに何か届くといいな。

2018年2月5日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(130)

1月29日(月)

今日は広南小学校読み聞かせ。

まだまだ寒いけれど、先日の寒さに比べたら。

今日の担当は、5年生。

今日読んだのは、写真の絵本。

『ナヌークの贈りもの』(星野道夫)

20年ほど前に、『どうぶつ奇想天外!』という番組の撮影のために訪れていたロシアで、テントにいたところをヒグマに襲われて亡くなってしまった写真家 星野道夫氏によるシロクマの物語。

ホッキョクグマと共に生きてきたイヌイットたちは、ことばを交わしていた。

人間はクジラに向かってもりを投げ、 クジラはサケをのみこみ、 サケはニシンをのみこむ。 ーーー生まれかわっていく、いのちたち。

繰り返し繰り返し、「生まれかわっていく、いのちたち」。

寒い中、みんな静かに聞き入って。

 

その星野氏の息子さんが父の足跡を訪ねる番組が1月11日にあったそうだが、見逃してしまった。

父と子のアラスカ ~星野道夫 生命(いのち)の旅』 今週末、BS1で2月3日(土)午後2時より再放送。

 終わって感想を尋ねると、「生まれかわっていく、いのちたち」を感じてくれたよう。

 

廊下に出ると校庭の上を、ミサゴのつがいが舞って。

この長浜で、春にはいのちが誕生するかなぁ。

 

今日は午後から石泉文庫の防火訓練。  

2018年1月29日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku