広南小学校読み聞かせ(168)

6月10日(月)

今日は少しくもり空。

今朝は広南小学校の読み聞かせ。

今年から読み聞かせボランティアの負担を減らすため、月2回となったので、何だか久しぶり。

担当は5年生。

今月はいじめ撲滅キャンペーン月間のため、〈いじめ〉をテーマにした絵本を読んでくださいと学校から要請があり、
読んだ絵本は、『泥かぶら』 (眞山美保 原作・くすのきしげのり 文・伊藤秀男 絵)

ちょっと読むには気合いのいる長ーい絵本。
先週決めて何度か読んで今日を迎えたけど、週末に声を嗄らしてしまって。。。

この本は、元々新制作座によって、1952年から15,000回以上も公演されてきた演劇作品をくすのきしげのりさんが絵本化。

 

両親を失ったひとりぼっちの女の子。

みんなから、みにくい、きたない「泥かぶら」と呼ばれて馬鹿にされ、そのたびに乱暴をはたらいていた。

ある時、旅の老人が、美しくなる方法を教えてくれた。

美しくなるためには、

「自分の顔を はずかしいと思わないこと」
「どんなときも にっこりわらうこと」
「人の身になって 思うこと」

辛いけれど、その3つを守り続けた泥かぶら。

いつも人にやさしく、にっこりと顔を上げていると、まわりの人の心も変わっていった。

最後、人買い“じろべえ”の手紙に添えられた、

ほとけさまのようにうつくしいこへ

仏さまの微笑みは、苦しい時も悲しい時も、私を思うて。

人はみな 心についた泥を おとすことができれば、
まっ白な うつくしいまごころが、
おもてにも あきらかになるのでございます。
・・・そう、心についた泥を おとすことさえできれば。

読み終わって、

「かぶらの色は何色ですか?」

「・・・」

次男一人手を挙げて「白です!」と。

「うんとこしょ。どっこいしょの『おおきなかぶ』のかぶらです」

 

みんな真っ白なこころ。

 

2019年6月10日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(167)

5月20日(月)

今朝は雨の予報だったのに、青空が広がった。

今日は広南小学校読み聞かせ。

担当は6年生。

読んだ絵本は、

『6わのからす』 (レオ・レオーニ  谷川俊太郎 訳)

 

6月2日までひろしま美術館で開催中の「みんなのレオ・レオーニ展」。

その中で、「平和を求めて」というコーナーに展示されていた「6わのからす」。

「観に行った人!」と尋ねると、一人だけ手を挙げてくれた。

 

麦を育てる農夫と、その麦を食べに来る6羽のカラスの話。

農夫はカラスを追い払おうとカカシを立てた。

腹を立てたカラスは、大きな鳥の凧を作り、農夫を怖がらせた。

農夫はもっと大きくて怖いカカシを作り、カラスも負けじと凧を作る。

それを見ていたフクロウが、

「のうふと からすと ばかなのは どっちかね」

と。

見るに見かねて、フクロウは農夫とカラス、それぞれに話し合いをすすめる。

「はなしあいに ておくれは ないよ」

「ことばには まほうの ちからがあるんだ」

と。

6年生にはどんなふうに伝わったかな。

レオ・レオーニの願いが、届きますよう。

2019年5月20日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(166)

5月13日(月)

今日も青空いっぱい。

今朝は広南小学校の読み聞かせ。

担当は2年生。

読んだ絵本は、

『ぼくのジィちゃん』 (くすのきしげのり作 吉田尚令 絵)

 

先日、「みんなのレオ・レオーニ展」に行ったので、レオ・レオーニもいいかなと思ったけど、来週末に行われる広南学園運動会の全体練習が今日から始まると聞いたので、運動会がテーマのこの1冊。

次男が1年生の時、6年生で読むのに練習で聞かせたら、とっても気に入って、自分の学年もこの本を読んで欲しいと頼まれて読んで以来。

 

教室に入ると、1時間目が全体練習のため、みんな体操服に着替えて座っていた。
「運動会、好きな人!」と尋ねると、「ぼくはきらい」と言う子がいたので、「今日は、運動会が嫌いって言う子の絵本です」と。

足が遅い2年生の男の子は運動会がきらい。
そして、田舎から応援に出て来たウサギの絵の入ったピンクのTシャツを着た、かっこわるいジィちゃん。

そのジィちゃんに速く走るコツを尋ねると、「右足を前に出したら、次は左足を前に出す。それを誰よりも早くする。ただそれだけじゃ」と答えるジィちゃんにがっかり。

当日、PTAクラス対抗リレーに出るはずだったお父さんが、急に仕事場へ向かわなければいけなくなった。
その代わりをジイちゃんが引き受け、またまたがっかり。

みんなに笑われて、学校に行けなくなると思っていたら。。。

ゴッ!

ビリでバトンを受けたジィちゃんは、何とロケットのように次々と抜かし、先頭を走っていた陸上競技の選手だったハヤト君のお父さんまで!!

ジィちゃん、がんばれー!

 

ゴッ!

のシーンから、子どもたちの反応がガラッと変わった。

「スゲ―!」と。

特に男の子に受けが良かったようで、終わった後は次々感想を。

 

みんなも、

「右足を前に出したら、次は左足を前に出す。それを誰よりも早くする。ただそれだけじゃ」

運動会を楽しんで!

2019年5月13日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(165)

4月22日(月)

急に汗ばむ陽気に。

今朝は広南小学校読み聞かせ。

新年度2回目にして担当が新1年生!

これまで、1年生の担当が当たるのは、子どもたちが学校に少し慣れた頃にまわってきてたけど、今年度は早々に。

候補にしていた絵本もあったけど、先日の長浜日曜学校の入校式での新1年生の姿を見て、ちょっとその本を見せると、「絵がこわい!」となってもなぁ。。。と心配になり、とりあえず今回は楽しい絵本にしようと。

読んだ絵本は、

『へろへろおじさん』 (佐々木マキ)

この本は、昨年3月に広島県立図書館で行われた「平成29年度新しい子ども向けの図書の紹介」で、30冊紹介していただいた本で、一番印象に残った絵本。

友人に宛てた手紙をポストに投函しようと家を出ると、おじさんを待ち受けているのは、災難ばかり。

それでも、ポストに手紙を出し、公園でベンチに座ってアイスクリームを食べようと思った瞬間、そのアイスクリームが下に!

さすがに我慢しきれず、泣いていると、小さな女の子のやさしさが。。。

教室に入ると、まだ担任の先生の姿がなく、子どもたちの目が??とこちらに。

とりあえず、初めてなので簡単な自己紹介をして、「面白かったら笑ってください」と一言添えてスタート。

ページをめくり、読むたびに笑い声が聞こえてきて、終わった後はうれしいことに次々手をあげて、「○○のシーンが面白かったです!」と。

かわいらしい1年生、これからたくさんの本に出会えますように。

2019年4月22日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(164)

4月15日(月)

桜の花が散り始め。

散ったピンクの花びらも美しく。

今朝は、新年度を迎えて初めての広南小学校読み聞かせ。

担当は新3年生。

読んだ絵本は、

あいたくなっちまったよ』 (きむらゆういち 作・竹内通雅 絵)

読み聞かせも今年度で8年目に突入。

お母さん方の中に、ひとり「父ちゃん」として。

そこで、「父ちゃん」の出てくるこの1冊を年度初めに。

ねずみのとうちゃんとやまねこのとうちゃん。

どちらも子どもを思う親心。

新学期早々、次々感想を!

今年度もたくさんの本との出会いを大切に。

2019年4月15日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(163)

3月18日(月)

先週末の土曜日に、広南小学校6年生が卒業。

6年生がいなくなると、何だかポッカリと穴が開いたように。

今朝は快晴のもと、広南小学校平成30年度最後の読み聞かせ。

担当は、5年生。

これから最上級生となる5年生に読んだ絵本は、

マララとイクバル パキスタンのゆうかんな子どもたち』
      (ジャネット・ウィンター作 道傳愛子 訳)

イクバル・マーシーのことは、彼が銃撃された三日後の
1995年4月19日に死亡記事を読んで以来、ずっと心のなかにあった。
その短い人生とパキスタンの絨毯業界の債務児童労働に対して声をあげた
少年の勇気を知った。
2012年10月9日、女の子が学校へ通う権利を訴えてきた
マララ・ユスフザイが撃たれたと知ったとき、あらためて、
イクバルのことを思い出した。
子どもでありながら立ち上がったふたりの勇気は、
私の胸に迫った--そしてこの本が生まれた。--J.W

パキスタンで、女子教育の重要性を主張し、武装勢力タリバンに銃撃されたが、一命を取り留め、その後ノーベル平和賞を受賞したマララさん。

そして、同じくタリバンに銃撃されて亡くなってしまったイクバル君。

同じ年頃の子どもたちの話に、何を感じただろう。

「タリバンは、じゅうだんによって、わたしたちを
だまらせられると思ったのです。でも、そのこころみは、
しっぱいしました・・・・・・。ひとりの子ども、ひとりの先生、
1さつの本、1本のペンが、せかいをかえるのです。」






最後ということで、今年も児童からのお手紙をいただいた。

今日は何を読んでくれるのだろうと楽しみにしているとか、自分は卒業するから、下級生を笑顔にしてくださいとか、うれしいことがいろいろ。

2019年3月18日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(162)

3月11日(月)

雨が上がり、青空の広がる朝。

今朝は広南小学校の読み聞かせ。

担当は4年生。

「今日は何の日か知ってますか?」

と尋ねると、

「今日、何日?」

「ホワイトデー??」

と。。。

「今日は東日本大震災から8年目の日です」

「あ~。。。」

この子たちは当時2歳。

分からないのも無理はない。

でも、伝えておきたいので、

読んだ絵本は、

『かぜのでんわ』 (いもとようこ 作)

以前、仏教壮年会例会で読んだことが。
その後、会員の方が、「『かぜのでんわ』、何冊か買ってまわりの人に贈りました」と言ってくださった。

風の電話

岩手県大槌町の佐々木格さん(ガーデンデザイナー)が、自宅の庭に「風の電話ボックス」をおきました。「会えなくなった人へ伝えたい・・・・・・」ひとりっきりになって、
電話をかけるように相手に想いをつたえる空間で、実際の電話線はつながっていません。

風の電話は心で話します
静かに目を閉じ、耳を澄ましてください
風の音が又は浪の音が或いは小鳥のさえずりが
聞こえたなら あなたの想いを伝えて下さい。

佐々木さんが震災前から考えていたものだそうですが、心の復興のきっかけになればと思い、実現させたそうです。

「あまりにも突然、多くの命が奪われた。せめてひとこと、最後に話がしたかった人がたくさんいるはず。そして今回の災害だけでなく、会えなくなった人に
つたえたい想いを持っている人は多いと思います。どなたでもいらしてください」

この絵本は、「風の電話」をもとに作られたものです。(本文より)

今日は学校も半旗。

午後2時46分には、みんなで黙祷しますと。

午後から専徳寺にて呉東組聞名講。

2019年3月11日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(161)

3月4日(月)

雨上がりのくもり空。
ウグイスの声が聞こえてこない。

今朝は広南小学校読み聞かせ。

担当は3年生。

読んだ絵本は、

『わたしのそばできいていて』 (リサ・パップ 作・菊田まり子 絵)

先日、NHKスペシャル『ベイリーとゆいちゃん』の再放送があったのを、たまたま観た。
神奈川県立こども医療センター でファシリティドッグ(セラピー犬)として従事していたベイリーの引退。

その番組を観て、20数年前にアニマル・アシステッド・セラピー(アニマルセラピー)のこと、ペットロスのことに感心を持っていろいろ調べ、本を集めた頃を思い出しながら、この絵本に出会った。

ライブラリードッグ。

欧米では図書館で、子どもが犬に読み聞かせをすることで、本を読むことが苦手だったり、嫌いだったりしたのが、読めるようになる助けとなっているのだと。

それを、「R.E.A.D.プログラム」と言うそうで、
「R.E.A.D. 」とは、
“Reading Education Assistance Dogs”
読書介助犬を意味するそう。

字を読むことが大嫌いだった女の子、マディ。
その理由は、学校で間違えたり、つっかえたりして、みんながクスクス笑うから。

そんなマディをお母さんが図書館に連れて行ってくれた。

そこで、ボニーという、白い大型犬に出会った。

「この子に本を読んでくれる?」

と言われ、マディは「うん」と思わず。

でも、読み始めると、間違えたり、つっかえたり。

でも、ボニーは、じっと見つめて聞いててくれる。

「まちがえたって、ゆっくりだって、だいじょうぶだよ」って。

そっとそばに寄り添う。

朝からあったかくなるお話。

2019年3月4日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(160)

2月25日(月)

今朝は2月最後の広南小学校読み聞かせ。

担当は2年生。

読んだ絵本は、

『100年たったら』 (石井睦美 文・あべ弘士 絵)

一人ぼっちのライオンの前に、一羽のヨナキウグイスが現れた。

「わたしはもうとべない。あんた、おなかが すいているんでしょう?
わたしを たべたらいいわ」
ライオンは すこしのあいだ 鳥を みつめた。
ちいさなからだ。ぼろぼろのつばさ。
「あいにくおれは、にくは くわないんだ。おれのこうぶつは、草と虫さ」

それから、しばらくライオンとヨナキウグイスは、なかよく過ごしていたが、別れの時がやってきた。
大泣きするライオンに、

「また あえるよ」
と、鳥はいった。
「いつ?」
いきおいこんで ライオンが きいた。鳥は こたえられない。
「ねえ、いつさ?」
「うーん、そうだね、100年たったら」

何度めかの100年が過ぎ、いろんな命をつなぎながら、やがて二人は。。。

みんな、とっても静かに聞き入って。

 

ヨナキウグイス

聞いたことのない鳥の名前だったので、調べてみたら“ナイチンゲール”と呼ばれている鳥。読み聞かせ前にスマホでナイチンゲールの声を聞かせ、この本に登場するヨナキウグイスを想像してみてくださいと。

ヨナキウグイスは、キレイな声だけど、ホーホケキョとは鳴かない。

先日、宇野正一さんの「たべものさま」という詩が紹介されていて、その出典を探してみたら、『樹にきく 花にきく』という本だというのがわかった。でも、もう絶版。。。
幸い、中古で1冊だけ出品されていたので、すぐに購入。

それが先日届いて、中を見ていて、ウグイスの詩を見つけた。

鶯さん

お日さまにもらった
明るさが

あなたの胸の芯に
とどいたのか

けさのうたは
ほんとに
よかったね

光明遍照十方世界
念仏衆生攝取不捨
ホー、ホーキケョ!
だから、
法、法聞けよ!
と、教えてとびあるいてるんだね。
そのことばだって、誰からもらってきた
のやら、あの美しいこえでねえ。
あの子、日本に育ち、昔からそれをいい
伝えてくれてるのだと思います。
(『樹にきく 花にきく』宇野正一 柏樹社)

100年も200年も何百年も前から、日本のウグイスは

「法聞けよ!」

と。

帰宅すると、ウグイスの声が聞こえてきて、上空には不思議な虹。

けさのうたは ほんとに よかったね

2019年2月25日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku

広南小学校読み聞かせ(159)

2月18日(月)

今朝はちょっと冷え込んだ。
それでも、光は春めいて。
朝、ウグイスの声がはっきりと聞こえてきた。
最初は「ケキョ」。
??
そのうち、「ホーホケキョ」と。
そして、キジバトの声。
もう、春がそこまで。

今朝は広南小学校読み聞かせ。

担当は5年生。

読んだ絵本は、

『ジャータカものがたり あわてんぼうウサギ』
 (中川素子 再話・バーサンスレン・ボロルマー 絵)

ジャータカものがたりについて
インドには「行いの善悪によって、ふさわしいところへ生まれ変わる」という輪廻転生の思想があり、おしゃかさまが偉大な仏になったのは、樹神・動物などさまざまに生を受け、善行を積んできたからと信じられています。おしゃかさまの前世の物語であるジャータカは、仏教の教えだけにとどまらず、人間としての在り方が、寓意性豊かに語られており、イソップ物語、グリム童話、今昔物語など世界の説話文学に影響を与えています。(本書より)

モンゴル出身、日本在住のバーサンスレン・ボロルマーさんの絵。
とてもかわいらしく、色使いも。

あわてんぼうでおくびょうなウサギが、昼寝をしていると、ドッダダッドーン!と大きな音がした。
ウサギは、「うわっ! せかいがこわれるー」と、大慌てで逃げ出す。

それを見た他のウサギも、何ごとかと一緒になって逃げ出し、それにつられて他の動物までもが次々と逃げ出した。

それを見ていたお釈迦さまの前世、王様ライオン。

獅子吼して呼び止め、その逃げている訳を聞いた。

誰に聞いても、「私は知りません。○○から聞いたのさ」と。
そして、次々と聞いていくうちに、先頭を走っていたウサギにたどり着き、王様ライオンはそのウサギと一緒にその正体を探しに。。。

このおはなしは、「正しくものごとを見たり聞いたり話したりして、本当のことを自分の目で見きわめなさい」という、おしゃかさまの大切な教えのひとつです。

情報化社会。
次々といろんな情報が入ってくる中で、2500年も昔の話が大切なことを教えてくれる。

「正しく本当のことを見きわめなさい」と。

2019年2月18日 | カテゴリー : 絵本 | 投稿者 : sentoku