専徳寺のぶろぐです。
お寺のこと、地域のことを綴ります。
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6月1日(月)
今日から6月。
今朝は広南小学校読み聞かせ。
担当は5年生。
アメリカの動物研究家 アラン・ラビノヴィッツの絵本、『ジャガーとのやくそく』。
アランは、吃音(きつおん)。
緊張するとことばが出ず、うまく思いを伝えることが難しい少年だった。
「吃音」といわれても、恐らく子どもたちには分からないと思って、始まる前に「吃音」っていうのは・・・と説明をしてから始める。
「吃音」とは、いわゆる「どもり」。
ただ、この「どもり」ということばは、差別用語に当たると、今では放送禁止用語になっているそう。先日、NHKで市原悦子さんが差別用語を連発したと、少し話題になっていたけれど・・・、「吃る(どもる)」がダメで、「吃音(きつおん)」って読み方に変えると良いというのも、何とも不思議な。。。
小学校では障がいを持った子のクラスに入れられ、ダメなやつと思われているんじゃないか、ぼくはこわれているのだろうか?と思い悩む少年アラン・・・。
でも、詰まることなく、話ができることもあった。
それは、歌を歌う時と、動物に話しかける時。
ぼくには、わかる。動物たちには、ぼくの きもちが ちゃんと つたわっている。
でも 動物は、ことばをはなせない。ぼくのことばが でてこないのと おんなじように。
だから、人間は、動物たちのきもちがわからずに、かってに きめつけて、いじめたり、ころしたりする。
ぼくをむしして、ごかいして、きずつけるとの おんなじだ。
ぼくはペットたちと やくそくした。
「じぶんの 声を みつけられたら、ぼくが かわりに きみたちの 声を つたえるよ。そして、動物をきずつけるのを やめさせる。」
うまくことばが出なくても、何とかそれを誤魔化しながら成長していく術を身につけた。
そして、大学に入ると、話し方を学ぶプログラムに参加して、どもらずに話せるように。
アランは、動物の研究者になった。
そして、ベリーズという国で、ジャガーの保護区を作ってもらうよう、首相にたったの15分与えてもらい、自分のことばを伝え、世界で初めてのジャガー保護区が誕生することとなった・・・。
みんな、静かに聞き入った。
誰かのため、何かのため、そんな思いがあれば、人は世界を動かすこともできるのだということを感じてもらえたら。
また、最後のページの「ありがとう」の意味を。
5月30日(土)
今日は時折パラパラと。
そろそろ梅雨入りかな・・・。
境内の親鸞聖人像の前に咲くアジサイ。
アジサイは、カラッとした天気でなく、こうして雨に濡れてるのが何となく良いな。
朝から法務が一日続き、そんなことをふと感じることでちょっとした息抜き。
今日は午後4時30分より、広ステーションホテルにて呉東組総代会の総会。
何とかギリギリ間に合った・・・。
総代会では、昨年度の決算ならびに今年の予算と行事予定の審議。
その後、総代会担当の安登浄念寺御住職より、「グローバル化と仏教」と題してお話を。
イスラム、キリスト、いろいろなお話を聞いては、へ~っと。
その後の懇親会では、長浜の総代さんと昨日の蚊の話。
「同級生で行きたいと思ったけど、昨日は病院の検査だったからな・・・」とか、「私ら、ちょうどその活動の真っ最中。ここ(食事中)では、言えないことも・・・」とか、「当時は、ホントにいなくなった。絶対無理。できたら素っ裸で逆立ちして歩いてやるわっていってた大人がいたのも何人か知ってる」と。
こうした話を伝え聞かせていただく機会って、こうした席だから聞かせていただくのだなぁと。
それもこれもご縁。
5月29日(金)
今朝の中国新聞朝刊、呉・東広島版に、広南中学校の科学部発足のことが紹介され、私も住民顧問3人の一人として・・・。
元東京大学農学部教授で、蚊の研究第一人者 池庄司敏明先生の講演を聞きに。
その出会いは、『蚊』という専門書。
昨年からはじまった「蚊が0研究」の資料として、東京大学出版会から出ているこの本に出会ったことが今日のはじまりだそう。
この本の著者略歴に「広島県呉市に生まれる」とある。
それが、長浜であったと知り、親戚を通じて先生にお願いしたら、今日の講演をこころよく引き受けてくださったとか。
中学校の生徒たちは、去年1年蚊を見てきて、蚊の種類を判別できるくらいになっているのだそう。
へ~、こんなに蚊って種類があるのか。
とか、
蚊という種にはたくさんの種類があって、害虫といわれてる蚊はその極・極一部。
しかも、蚊が人の血を吸うのは、交尾をした後のメスが卵を産むためで、それ以外は花の蜜を吸っているのだと・・・。
ホントに知らないことだらけ。
何でも、知ることから始まるのだそう。
先生のことばで印象に残っていることは、今ではパソコンに結果を入れればグラフにでも何でもできる。それをデモンストレーションして、伝えることの大切さを、と話された時には「なるほど」と。
1時間の講演で、その後1時間、今度は科学部の生徒たちと先生を交え、いろいろと。
蚊は視覚・聴覚・嗅覚と、感覚を使って生きている。
でも、昼間活動する蚊と、夜活動する蚊は違う。
夜活動する蚊は、色が必要ない。黒と白の識別で良いのだそう。
それに対して昼間活動する蚊は、色の識別ができる。
また、聴覚は、交尾をするためにオスが蚊柱にいるメスの羽音を聞きとるだけに利用。それ以外は耳をふさいでいる蚊もいるそう。
すべては子孫繁栄、種の保存のため。
知らないことをいっぱい学ぶ。
俳人小林一茶は、蚊やハエなどの句をたくさん残している。
インターネットでそのことを調べてみると、
「小動物はもちろん、可憐な女の子、純な少年、弱い角力取などなど、一茶にとっては自分の分身のように感じられていたのである。生き
ものの命が、じかに、自分の命に伝わるといってもよい。
生きものの命に精霊を感じて、徒や疎かに扱えない気持ちになる、といってよい。古代人が、山川草木、鳥獣魚類のすべてを、生きものとおもい、それに精霊を感じ、 カミとおもっていた、かのアニミズムといわれている感応の世界が、一茶のなかに(身体の芯に)、人一倍濃く宿っていた」と、一茶にとって小動物というのは自分の分身であり、命のある生き物の精霊であるとみている。
との話を見つける・・・。
浄土真宗の教えに生きた一茶。
恐らく、精霊とかカミ、アニミズムの世界ではないと思うのだけれど・・・。
何はともあれ、顧問とは名ばかりで、何にも知らないのでは・・・と、ただいま池庄司先生の『蚊』を取り寄せ、少しずつ。
蚊帳も知らない中学生たちが、ひょっとしたらアフリカ大陸で苦しんでいる人たちの助けとなるような、そんなすごいことを発見するかも知れない。
たくさんの「いのち」を感じながら。