初盆

8月5日(金)

今日は特別養護老人ホーム『成寿園』で、この一年に亡くなられた方の追悼法要。

お盆が近づき、亡くなられた方を偲ぶご縁が増えてくる。
また、盆に関する問い合わせも。

この月末に満中陰法要(四十九日法要)を迎える方が初盆の依頼もされていたが、「他の方から四十九日も迎えていないのに初盆を迎えるのはおかしいといわれたのだけれど・・・」と、問い合わせ。

浄土真宗では、亡くなったらただちにお浄土へ参らせていただく。だから、四十九日を迎えるまでのあいだ、魂がさまよっているとか、巷でいろいろいわれているようなことはありませんよ。亡くなられた方との別れを迎え、そして初めて迎えるお盆ということでおつとめさせていただきますと答える。

お盆とは、『盂蘭盆経(うらぼんきょう)』にもとづく仏教の行事。
専徳寺でも「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という法座を毎年勤めているが、「歓喜会(かんぎえ)」と呼ぶお寺もある。
特別なお荘厳をするわけではないが、本願寺では切子灯籠と呼ばれる灯籠が御内陣に荘厳されるそう。

専徳寺は各御門徒のお宅をまわるお盆参りを昔からしていない。
初めてのお盆(初盆)を迎えるお宅で、依頼のあったところだけをお参りさせていただく。

その代わり、最近増えてきたのがお盆期間中の法事。

「お盆に家族が揃うので」。それが一番の理由のよう。
遠方にお住まいのご家族が揃うことは、今のご時世なかなか難しくなっている。
ただ、お盆のときにふるさとへと帰ってくる。
それでこの時期に法事をされるお宅が増えてきた。

ふるさとへ帰る。それを表す「帰省」ということばをよく耳にする。
今ではただふるさとへ帰るという意味で「帰省」ということばが使われているようだが、この「省」という字には「親の安否を気づかう」という意味があるのだそう。

ただ、お盆の法話でよくするのだが、親の安否を気づかってふるさとへ帰るといいながらも、そこには親が子どもの安否を気づかって呼び戻しているケースの方が多いことに気づかされるのではないですか?と。

お盆の由来はどうであれ、今では一つのご縁。
先にお浄土へ参られた方が、私たちの安否を気づかって、お仏壇やお墓の前に導いてくださっている一つのご縁である。

大賀ハス (2)

7月29日(金)

昨日、開いた大賀ハス。

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今日は全開。

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そして、昼過ぎには、

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再びつぼみ。

ホントに不思議な光景。
私たちの知らない自然の力。

新潟では記録的な豪雨で、大変な被害が出ているようだ。
はかりしれない自然の力。

その前になすすべがない。

その昔、人は自然を畏れ、敬うこころを持っていた。

大賀ハス

7月28日(木)

黄陽が昨日みごとに散った。

そして、今日大賀ハスの花が開いた。

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大賀(おおが)ハス

今から2000年以上昔のハスの実から発芽・開花したため、古代ハスとも呼ばれる。
大賀一郎博士にちなんで「大賀ハス」と名づけられた。

戦時中、東京都が燃料不足を補うため、千葉県花見川下流の湿地帯に豊富な草炭が埋蔵されていることに目をつけた。
戦後も継続して採掘が行われているうちに、たまたま丸木舟とハスの花托を発見。

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それを知ったハスの権威 大賀一郎博士が、地元の小中学生や一般市民などのボランティアの協力を得て発掘調査を行った。
その結果、3粒のハスの実を発掘したが、2粒が栽培に失敗。残りの1粒が昭和27(1952)年7月18日にピンク色の大輪の花を咲かせた。

そのニュースは、「世界最古の花、生命の復活」と、アメリカの『LIFE』誌にも紹介されたとか。

このハスの再生は、もともと燃料不足を補うところから始まった。

今、日本は『脱原発』ということばを毎日のように聞く。
ただ、それを補うためのエネルギーを模索しなければ。
そのエネルギーの模索から新しい発見があるかも。

何がきっかけ、何がご縁となるか分からない。
明日の朝には大きな花を咲かせるでしょう。

蓮 ふたたび

7月25日(月)

今朝は久しぶりに雨。
雷もゴロゴロと。

昨日久々に開いた蓮の花、『黄陽(きよう)』。

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昨日はピンクの花を咲かせたが、今日は・・・。

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昨日の花と同じものとは思えないほど、まったく違った姿に。

昼からは花が閉じ、また明日。
ホンの短い花のいのち。

そこから何か気づかせていただきましょう。

今年も8月が近づいてきた。

8月といえば、昭和20(1945)年8月6日と9日、広島・長崎に原爆が落とされた日。
そして、15日の終戦記念日。

専徳寺では毎年8月6日、広島に原爆の落ちた午前8時15分に合わせて梵鐘を鳴らし、本堂で勤行。
そして15日の終戦記念日には、長浜の戦没者追悼法要が夜に行われる。

追悼法要では御遺族の参列者も年々減っていく。
戦争を知らなくても、この過去を忘れてはならない。
忘れてしまったら、また再び繰り返してしまうのが世の常。

伝えていくことの大切さ。

そんななか、ヒロシマアーカイブというサイトを知った。

Hiroshima被爆された方の証言、そして当時の写真。
記憶を記録し、後世に。

今年の8月6日は、専徳寺で煎茶会。
寺の主催でなく、御門徒さんからの発案で。

初めての試みではあるが、これも伝える一つのかたち。

ヒロシマ以外に、ナガサキ、東日本大震災のアーカイブも。

ナガサキアーカイブ
東日本大震災アーカイブ

伝え方にもいろんなかたちがあるが、こころは一つ。

 

蓮 ~黄花蓮~

7月2日(土)

今朝、3種類目の蓮、黄花蓮という蓮の花が開いた。

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黄色というよりオフホワイト。
明日の朝が、一番美しい姿になるでしょう。

黄陽は昨日、大賀ハスは今日花びらがすべて散り落ちた。

何とも短い花のいのち。
そう思うと、この美しく咲いた姿を見れることはありがたい。

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夏の法座に掛かる打敷。
暑いなか、涼しげな浄土の相(すがた)に映る。

金子みすゞさんは、『蓮と鶏』という詩を残している。

蓮と鶏

泥のなかから
蓮が咲く。

それをするのは
蓮じゃない。

卵のなかから
鶏が出る。

それをするのは
鶏じゃない。

それに私は気がついた。

それも私のせいじゃない。

蓮が美しい花を咲かせるのは、蓮の力だけでは咲かない。
太陽の光、水、空気、土・・・。いろんな環境、いろんなご縁が整って、こんな美しい花が咲く。

私たちのいのちも同じこと。
それに私は気がついた。それも私のせいじゃない。

ご縁である。

可愛らしいサイトがあったので、ご紹介。

6月30日(木)

昨日開いた大賀ハスと黄陽。
今朝は全開。

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特に黄陽は、昨日よりも白が際立って。

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明日から天気が下り坂。
明日には散ってしまうだろうか。

実は、次男の名前は「蓮(れん)」。

一昨日の6月28日が3歳の誕生日。
でも、その前日から熱が出て、今日やっと平熱に。

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今朝は水を蓮鉢に足すのをお手伝い。

誕生日の翌日に蓮が二輪咲いた。
でも、蓮は2歳から3歳に。

そんなこともあって、昨日注文した蓮がもう一種類届く。

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今度の蓮は黄花ハス。

大きな葉っぱに大きな蕾。
どんな花を咲かせてくれるでしょう。

息子の蓮は、今は何色か分からないけど、『阿弥陀経』の「青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光、微妙香潔」のように、自分の持って生まれた色で、そのままの光を放って欲しい。それが親としての願いでしょうか。

「蓮」といえば、

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実はこれ、アルザス地方のワイン、JOSMEYERの「蓮」。

アルザスワイン特有の花のような香、フルーティな味わいの白ワイン。
今日のような暑い時、キリッと冷やして飲むのに最適。
オリエンタルな印象を与えるということで、「蓮」と名づけられたのだそう。

そういえば、何となくライチを感じさせる。

ライチといえば、蓮の鉢に泳いでいるメダカの名前の由来となった「楊貴妃」が好んだと言われる果物。
いろんなことでつながった。ホントにご縁である。

『家庭画報』5月号に本願寺

4月17日(日)

昨日、妻が美容院でたまたま婦人雑誌『家庭画報』(世界文化社)を見たら、本願寺の書院が載っていて、写真がすごく綺麗だったと聞き、さっそくAmazonに注文。

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それが今朝届いた。

「荘厳の華 西本願寺」と題し、本願寺の書院(国宝)が99~111頁にわたって紹介されている。

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得度式の翌日、雪の舞うなか鴻の間でお斎をいただいたこと、本願寺の学階を取るための試験「殿試(でんし)」を受けた東狭屋の間など、ふとその時のことを思い出す。

家庭画報サロン会員向けに、書院特別拝観と「菊乃井」本店での昼食プランもあるそうだ。

この『家庭画報』も売上の一部が日本赤十字社を通じて義援金となるそう。

願 ともにがんばろう

4月13日(水)

今日、発注していた缶バッジが届いた。

1ヶ月前の東日本大震災。
お寺で義援金は募っているものの、ほかにお寺としてできること。
それをいろいろ考えて・・・、たどり着いたのは伝えること。

お寺は伝道の道場、そして聞法の道場である。

それを形に示すため、缶バッジを制作してみた。

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」の一字。
そして、「ともにがんばろう」のメッセージ。

この「願」の字は、親鸞聖人の真筆聖教よりいただいた。

「願」の右側には読み方を表す「クワン(がん)」、左側には意味を表す「子カフナリ(ねがうなり)」と書かれている。

この「願」は、私たちの願いではなく、阿弥陀仏の願い。

阿弥陀仏の願いをこころにいただく。
それが信心であり、それを形にしたのが念仏「南無阿弥陀仏」である。

親鸞聖人は、まず信心をいただいて念仏を称え、「世のなか安穏なれ 仏法ひろまれ」と願うのがよいでしょうと手紙のなかに記された。

阿弥陀仏の願いをこころにいただいたら、このたび被災された方々の心に寄り添い、ともにがんばろう。そんな思いからこの缶バッジが生まれた。

「その気持ちをカタチに」

この言葉が話題になっているということは、今カタチにすることが求められているということ。

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このバッジ。

近々総代・世話係の方にまずお配りしよう。

そして、このバッジをつけたいと思われる方に永代経法要等でお配りしよう。

それから6月に親鸞聖人750回大遠忌法要にお参りするとき、これをつけて参拝しよう。

4月9日から本願寺では大遠忌法要がはじまった。

このたびの法要は、

すべての被災された方々の悲しみに寄り添い思いを分かち合いたいとの願いを持って、4月9日より親鸞聖人750回大遠忌法要をお勤めいたします。

と、御門主様の言葉に示されるように、願いをいただき、願いをもってあうご縁である。

親鸞の歩き方

3月25日(金)

本日発売の「親鸞の歩き方」

Amazonで予約していたのが届いた。

この本を出版したのはダイヤモンド社。
地球の歩き方シリーズで知られる出版社である。

親鸞聖人の御旧跡を中心とした京都のガイド、そのほか津本陽・吉本隆明・三國連太郎が親鸞聖人のことを語っているので、関心のある方はどうぞ。

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涅槃会

2月15日は涅槃会(ねはんえ)

お釈迦様がお亡くなりになった日だが、旧暦であるため、3月15日にするところもある。
京都の禅宗の寺院で、大きな涅槃図を掲げているのをよく見に行ったものだ。また、嵯峨野にある浄土宗の清涼寺では、大きなたいまつを燃やすお松明式が3月15日に行われる。

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これはお釈迦様を荼毘に付す様子を表しているそうだが、古来よりその燃え方でその年の稲の吉凶を占っていたのだそう。五山の送り火、鞍馬の火祭と並び、京都の三大火祭に数えられている。

浄土真宗では、特別涅槃会をつとめないが、蓮如上人は『御文章』二帖第四通の結びに、

文明六、二月十五日の夜、大聖世尊(釈尊)入滅の昔をおもひいでて、灯の下において老眼を拭ひ筆を染めをはりぬ。

と記している。
得度して法名に「釋」の一字をいただいた者として、この日は釈尊入滅をしのぶ大切なご縁である。

0819                  インド アジャンタ石窟寺院

Photo

                                     伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)
                                    『果蔬涅槃図
(かそうねはんず)
                                             (京都国立博物館蔵)