石泉文庫虫干し法座 2日目

7月17日(水)

石泉文庫虫干し法座2日目。

朝席が終わると、みんなで石泉文庫から本を運ぶ。

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今年も広南小学校の6年生のみなさんがお手伝い。

 

そして、本堂で「パン!」と本を叩いては、ロープにひっかけて干していく。

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たくさんの蔵書。

全部を一度に干しきれないので、今年の分は蔵書の半分。

そして、来年は残り半分。

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本堂いっぱいに干される姿は、例年のことながら有り難い。

 

干す作業の後、石泉文庫についてお話をさせていただく。

難しい本がずらりと並ぶなか、時折こんなのを見つける。

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「きんちゃく」

僧叡和上の『玄義分聴記』の裏表紙。

 

『学僧逸伝』という本に、僧叡和上がサルを飼っていて、和上の留守中、メガネをかけて朱で何やら書いていたものが残っていると紹介されていたのだが・・・。

 

朝の虫干しと法事が一段落ついて、外に水やりに出ると、

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先日植えたひまわりの里子たち。

りっぱなフタバをのぞかせた。

 

午後3時から干した本の後片付け。

一切経は紐でしばり、木箱に入っていた蔵書は目録と照合。

 

そして夜席。

昨日に続いて、僧叡和上から慧海-福間浄観-多田蓮識-信楽峻麿-御講師へとつながるお念仏の話を聞かせていただいた。

「大地に足がついていない」(多田蓮識)

私の歩みがお念仏。

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虫干しのことで、もっと楽な方法、たとえば燻蒸とか今ならいろいろあるではないかと、以前指摘を受けたことがある。

ごもっともなことではあるが、それでは何も伝わらない。

ずっと受け継がれてきたものを、せっせと汗を流して作業する。

大変な作業であるが、みんな輝いている。

お念仏が輝いている。

 

明日も朝席が終わると、虫干し作業。

お誘いあわせてお参りを。

石泉文庫虫干し法座 1日目

7月16日(火)

何となく違う朝・・・。

昨日まで聞こえなかったセミの声が一斉に。

何の相談があるわけもないだろうに、不思議なこと。

 

午後から総代・仏教壮年会の方々が集まって、虫干しの準備。

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本堂の端から端へロープをピンと張る。

これが緩いと本の重さでダラリと下がってしまう。

 

夜席から石泉文庫虫干し法座。

このたびの御講師は、呉の西教寺 岩崎智寧師。

前住職の岩崎正衛師も、以前この虫干し法座のお取り次ぎをしていただいたことがあるそうで、有り難い初めてのご縁。

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ロープの張られた不思議な光景のなか、自己紹介を交えながら、自ら歩んでこられた道をお聞かせいただく。

信心とは生きる姿勢(死ぬ覚悟)

このたびのご縁を通して、石泉僧叡和上の念仏を大切にする姿勢を改めて。

 

明日は広南小学校6年生が、地域学習で虫干しをお手伝い。

この虫干しから、どんなことを感じてくれるだろう。

 

明日もお誘いあわせてお参りを。

石泉文庫見学

3月13日(水)

今日は雨のなか、宗学院に通っている組内寺院の御住職が、学友と一緒に石泉文庫の見学に。

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専徳寺で少し石泉和上の話をした後、石泉文庫へご案内。

文庫のなかは照明がないので、こんな日は真っ暗。
懐中電灯を使ってお聖教を手に取る。

宗学院で講録(親鸞聖人の著作に関する講義の記録)を学ぶ方々にとって、ここは知識の宝庫。

今の時代、どんどん便利になり、こうした講録が収まった『真宗全書』も、国会図書館ホームページ近代デジタルライブラリーで閲覧出来るようになったが、それでもまだまだ文庫のなかに眠ったものも存在する。

 

20数年前に大学の卒業論文を書いた頃、貴重書のためコピーが出来ず、また今のようなデジカメもなく、卒業論文を書くための資料集めに石泉文庫の本を2日で3冊ほど書き写したら、夕飯の茶碗が持てなくなった。(※字は右手で書くが、箸は左手で持つため。)
それで、ワープロを購入することに。

そんなことを思い出す。

不便さを知っているから、便利だと感じ、ありがたいと感じる。

時には不便なこうした昔ながらの場所へやって来るのもよろしいかと。

広南小学校3年生 石泉文庫見学

2月4日(月)

一昨日は春の陽気。昨日も少しその名残があったが、今日は雨が降り、少し肌寒い。

そんななか、傘をさして広南小学校の3年生が、石泉文庫を見学に。

先月(1月17日)の石泉文庫の消防訓練に参加して、いろんなことに興味をもったようで、内部を見てみたいと。

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文庫の2階は薄暗く、階段も急なため、怖がりながらも5人ずつ順番に上がって、文庫を見学。

上がってみると、初めて見る石泉文庫の本にみんな興味津々。

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特に宇都宮黙霖の書を手に取り、読めないけれどもきれいに書かれた字に感動。

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「聾僧 黙霖 覚了」

見学後、専徳寺に場所を移し、プロジェクターを使って宇都宮黙霖の生涯を紹介。

まだ日本史を習っていない3年生には、「尊王攘夷」はなかなか難しいかな?と思いながらも、みんな最後まで一生懸命聞いてくれた。

 

大病に冒され、耳が聞こえなくなり、大変な状況にもかかわらず、自らの大義を究めていく。

その頃から名告った「黙霖」という名前。

「霖」という字を調べてみたら、「霖雨蒼生(りんう・そうせい)」ということばが出てきた。

苦しんでいる人びとに、救いの手を差し伸べること。また、民衆の苦しみを救う慈悲深い人のこと。

霖雨(長い雨)が恵みの雨となり、枯れかけた草木を助けるところから出来た熟語だそう。

喋ることは出来ないけれど、黙って苦しんでいる人たちを助けたい!
恐らくそんな由来がこの名前にあるのだろうか。

 

生涯を通し、この方の人生は決して恵まれた状況にはなかったかも知れないが、石泉文庫の本には恵まれた。

歴史上、それほど大きく取りあげられることはないが、この人がいなかったら、今の日本はどうなっていただろう。

そんな人を身近に感じた3年生。

自分の好きなこと、やりたいことを最後までやり遂げられるかな。黙霖のように。

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石泉文庫防火訓練打ち合わせ

12月12日(水)

本日、来月の「文化財防火デー」に伴う石泉文庫の防火訓練の件で、呉市教育委員会、呉市東消防局の方との打ち合わせがあり、住職と総代1名が出席して行われた。

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今年は雨のために中止となったが、来年は1月17日(火)に開催。

ちょうどこの日は、阪神淡路大震災の起こった日。

例年どおりの訓練と消火器の使い方講習を行う予定だが、今年はさらに天ぷら火災の怖さを知っていただくため、火のついた天ぷら油に水を注ぐとどうなるか?、これを消防士の方に見せていただくことに。

寒い時期ではあるが、こうした訓練は大切なこと。
暖かくして、どうぞご参加を。

くれ情報ステーション

10月30日(火)

昨日、広島ホームテレビで、毎週月曜日午後18時56分から放送されている「くれ情報ステーション」に、隣寺の住蓮寺が登場。

第265回 文化財訪ね歩き ~宇都宮黙霖誕生・終焉の地~

先日、報恩講で住蓮寺にお参りしたときにその話を聞いていたのだが、思い出したのは放送後・・・。

今日、ホームページを見ると、バックナンバーに放送分が掲載。

そればかりか、これまでのものが動画で。

さかのぼってみると、第127回(2010年1月23日放送)にも「吉田松陰に影響を与えた時代の先駆者 宇都宮黙霖」と題して放送されている。

興味のある方はどうぞ。

石泉文庫虫干し法座 4日目

7月19日(木)

石泉文庫虫干し法座が朝席で御満座。

法座が始まる前にポツポツと小雨が降り出したので、本を返すことが出来るか心配だったが、法座が終わった時点で雨がやんでいた。

それで石泉文庫へ本を返すことに。

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最後の本を返した後、またポツポツと降り出した。

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それでも、何とか石泉文庫へ無事返せた。

車の通らない細い道。そこを昔と変わらず、人の手によって運ばれていく。

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そして、その様子を凌霄花(ノウゼンカズラ)が静かに見守っている。

長浜の夏の風物詩。 

暑い中、どなたさまもご苦労様でした。
そして、ありがとうございました。

石泉文庫虫干し法座 3日目

7月18日(水)

今日も晴天。

昨夜は呉東組納涼会が、マツダスタジアムにて。
広島-中日戦を観戦。
法座中で参加できなかったが、何とサヨナラ勝ち。

 

こちらは石泉文庫の虫干し2日目。

朝の法座が終わると、みんなで虫干し。

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この天気のおかげでよく乾いた。

本を片付け、目録と照合。

そして、お手伝いしてくださった方が夜の法座の準備。

地域の皆さんのご協力で今年も無事。

あとは、明日の朝席の後、石泉文庫に戻すだけ。

 

この猛暑。体調には気をつけて。
ようこそのお参りでした。

石泉文庫虫干し法座 2日目

7月17日(火)

今日も青空の下、石泉文庫虫干し法座。

中国地方は梅雨明けしたと見られるそう。

朝席が終わると、石泉文庫から蔵書を専徳寺へと運ぶ。

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広南小学校6年生のみなさんも地域学習でお手伝い。

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小坪の子どもたちにとっては、石泉文庫?宇都宮黙霖?かも知れないが、汗だくになりながら本を干すのを手伝ってくれた。

本を干し終わった後、石泉文庫や宇都宮黙霖の話をいろいろと聞いていただくのだが、小学生だけでなく、お手伝いしてくださった地域の御門徒の方々も残って聞いてくださる。

 

石泉僧叡和上が生まれて250年。
65歳で亡くなり、その30年後にその後の石泉文庫のあり方について、門弟の方々と長浜の御同行で取り決めがなされた。

その一つが虫干し。

以来、この地の皆さんの協力で、ずっと受け継がれている。
200年も昔の本でありながら、きれいな姿で残っているのは、こうした方々のおかげ。

今日、参加した小学生のみなさんも、その輪に加わった。

実際にさわって、いろんなことを感じてほしい。

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そして、今日はたくさんの質問もいただいた。

 

午後3時より干した本を片付け、一切経以外の蔵書を目録と照合。

 

そして、夜席でいただいたことばは、

仏身円満無背相

このことばは、昨日の夜席でおつとめした『般舟讃』のことば。
中国の善導大師のことばである。

仏身円満無背相 十方来人皆対面
 仏身円満にして無背の相なり 十方より来る人、みな対面す。

ほとけさまは背中を向けない。どこから来る人に対しても向かいあう。

私たちは面倒なことには背を向け、出来れば関わらないでおきたいという気持ちを持ったりする。

今、問題になっている”いじめ”もそう。
でも、今日こうしてみんなが虫干しという行事に向き合い、関わった。

 

ほとけさまのこころを知り、みずからの姿を知らされる。
ようこそのお参りでした。

石泉文庫虫干し法座 4日目

7月16日(土)

朝席で石泉文庫虫干し法座が御満座。

このたびは、御講師に安登の浄念寺 安達高明御住職を迎えて、「仏教とは?」をテーマにいろいろと聞かせていただいた。

そのなかで、「聴聞」の話もされた。

「聴聞」

親鸞聖人は『顕真実教行証文類』(教行信証)の「行文類」に『平等覚経』を引用され、

宿世のとき仏を見たてまつれるもの、楽(この)んで世尊の今日を聴聞せん。人の命まれに得べし。仏、世にましませどもはなはだ値(もうあ)ひがたし。信慧ありて到るべからず。もし聞見せば精進して求めよ。

の「聴聞」の左側に「ユルサレテキク」「シンジテキク」と左訓(意味)を施されている。
聴聞とは、聞いて信じるのではなく、信じて聞く。聞いて信じて許されるのではなく、許されて聞く。私が中心、私が先ではないのだ。だから、「お聞かせいただく」のである。

朝席が終わり、石泉文庫へ本を返す。

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石泉文庫までの道は細い。
細いから人の手で運ばねばならない。

多い人で何往復していただいたのだろう。

ノウゼンカズラが青空に映える。
お手伝い、ありがとうございました。