石泉文庫虫干し法座 3日目

7月15日(金)

石泉文庫虫干し法座3日目。

今日も青空の下、朝席が終わると残りの半分を虫干し。

石泉文庫の虫干しは、毎年すべての本を出して虫干ししているのでなく、文庫内のほぼ半分の蔵書を隔年で干す。
来年は文庫内に残っている方の本を。
そう思うと、大変な数である。
でも、中身は読めなくても、手にされる方、それぞれにいろんなご縁が生まれている。

今年もおかげさまで無事干すことが出来た。

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明日の朝席が終わったら、これをみんなで石泉文庫へお返しする。

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今、本堂の廊下から満開のノウゼンカズラが見える。
石泉文庫にも咲いている。

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ノウゼンカズラ、漢字で書くと「凌霄花」。

この花は平安時代に中国から渡ってきたのだそう。
中国名が「凌霄花(りょうしょうか)」。
それを日本で「ノウセウ」と読んだのが訛って「ノウセン」となったとか。

霄は「空」とか「雲」の意味があって、「空を凌ぐ」。空に向かって高く咲く花の姿を表した名前なのだそう。

文字通り、青空のなかによく映えている。

法座も明日の朝席で御満座。
明日もお誘いあわせてお参りを。

石泉文庫虫干し法座 2日目

7月14日(木)

青空の下、石泉文庫虫干し法座2日目。

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本堂に張られたロープの下でのお聴聞。
この朝席が終わった後、石泉文庫から専徳寺の本堂まで蔵書を運ぶ。
今年も長浜小学校6年生が地域学習として手伝ってくれた。

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運ばれた本は、ロープに干されていく。
本堂いっぱいに干された本はいつもながら圧巻だ。

干す作業が一段落付いたところで、手伝ってくれた小学生にPowerPointで用意した資料を見せながら、石泉文庫の話をする。
手伝ってくださった方も一緒に。

干されている本で、一番多いのは黄檗一切経。
この「経」について話をした。

「経」とは、古代インドのことばで「スートラ」。
それを音写したのが「修多羅」。
そして、漢訳したのが「経」である。

「経」とは、たていと。
地球儀の縦と横の線。横の線が緯度、縦の線が経度を表すように。
どうして、その「たていと」か?

お釈迦さまが亡くなられ、その後、お釈迦さまの話をずっと側で聞いていた弟子たちが集まって文字に現した。

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当時、紙のなかったインドでは「貝多羅葉(貝葉)」と呼ばれる椰子の葉に記した。
そして、それに穴を開け、そこに糸を通してきれいに束ねた。
それが「たていと」と呼ばれる由来だそう。

数枚のスリランカの貝葉経を見せながらこの話をした。

「修多羅」。
実はこのことば、日常の会話にも使われている。

「ふしだら」「だらしない」

このことばは、きちんとしていないという意味で、「不修多羅」が訛って生まれた言葉といわれている。

お経はお弟子さんたちがきちんと整理し、糸で束ねてまとめた。
それに対しての「不修多羅(ふしだら)」。
私たちが使っていることばにはそんなことばがいくつもある。

そして、「虫干し」の話。

本を食べて穴を開ける虫は「シミ」と呼ばれる虫。

逃るなり 紙魚(しみ)の中にも 親よ子よ (一茶)

浄土真宗の教えに生きた小林一茶の俳句である。
「紙魚」と書いて「シミ」。
英語では、Silverfish。「銀の魚」と呼ばれる。

虫干しをして、このシミから本を守るわけだが、そのシミにも命があり、親子の関係がある。それを表現した一茶のことば。

小学6年生の児童も、和紙の軽さを体験し、たくさんの本の下でいろんなことを感じたと思う。

200年近く守られてきた地域の宝。
それを今日は守る力となった。

午後3時から干された本を片付けて、またもう一日残りの半分を干す。

暑いなか、ご苦労さまです。

石泉文庫虫干し法座 1日目

7月13日(水)

今夜から石泉文庫の虫干し法座。

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昨年は連日大雨警報も出たりして、最終日まで虫干しできなかった。
土砂崩れが起きたところもあり、夜席を1席休みとさせていただいた。

今年は早々と梅雨明けし、雨の心配はなさそうだ。
それでも、この暑さ。
電力不足に、水不足も心配されるところ。
熱中症にはお互い注意しましょう。

午後から、仏教壮年会の皆さんにご協力いただいて、虫干しのための準備。

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本堂に仮設の柱を設け、そこに太い竹を一本渡す。そして、本堂の両側からロープをピンと張る。
このロープがピンと張れていないと、本を干す時に重さでだらりと垂れてしまう。
力のいる作業である。

準備も整い、夜から法座。
御講師は安登の浄念寺 安達高明御住職。

仏とは?
迷ったと気づいた時に、正しい道を知ることが出来るという話を聞かせていただいた。

明日の朝席が終わったら、石泉文庫から蔵書を本堂へ運び、2日間干す。

長浜小学校6年生が、明日は地域学習として本を運ぶのを手伝ってくれる。
実際に江戸時代の本を手にして何かを感じて欲しい。
江戸時代からずっと地域の方々によって守られてきているそのつながりを感じて欲しい。
そして、そのなかに自分がいることも。

明日も良いご縁となりますように。