10月8日(火)
台風が近づいている。
ただ、夕方まで雨が降らず、午前中目一杯小坪地区の報恩講参り。
そして、午後からは京都より宗学院のみなさんが、研修旅行で当山専徳寺と石泉文庫を訪問。
その発案者の一人、是山恵覚和上が御自坊の光宣寮より石泉僧叡和上の著述を出版したことによって、それまで異端的に見られていた石泉が再評価されることに到った。
さすがにこんな曇り空では文庫のなかは真っ暗。
本堂へ主な著述は運んでおいたので、ゆっくりご覧いただけてよかった。
そして、今夜は仏教壮年会の例会。
今日は報恩講のご縁でもあったので、金子みすずさんの「お仏壇」の詩をお味わい。
お仏壇
お背戸(せど)でもいだ橙(だいだい)も
町のみやげの花菓子も、
佛さまのをあげなけりゃ、
私たちにはとれないの。だけど、やさしい佛さま、
ぢきにみんなに下さるの。
だから私はていねいに、
両手をかさねていただくの。
家にやお庭はないけれど、
お佛壇にはいつだって、
きれいな花が咲いている。
それでうち中あかるいの。そしてやさしい佛さま、
それも私にくださるの。
だけどこぼれた花びらを、
踏んだりしてはいけないの。朝と晩とにおばあさま、
いつもお燈明(あかり)あげるのよ。
なかはすっかり黄金(きん)だから、
御殿のように、かがやくの。朝と晩とに忘れずに、
私もお禮(れい)をあげるのよ。
そしてそのとき思うのよ、
いちんち忘れてゐたことを。忘れてゐても、佛さま、
いつもみてゐてくださるの。
だから、私はそういふの、
「ありがと、ありがと、佛さま。」黄金の御殿のようだけど、
これは、ちひさな御門なの。
いつも私がいい子なら、
いつか通ってゆけるのよ。
報恩講参りで、午前中ずっと何方かのお宅のお仏壇と向き合っている。
それぞれのお仏壇にお礼をあげながら、いろんなご縁をいただくとき、ふとこの詩を思い出す。
例会が終わったら、